副反応、あるいは相対性理論(日常コンピレーション Vol. 14)
こんにちは。@heat02zero です。
猛暑日も始まり、いよいよ夏は目前。
今月も振り返っていこうと思います。
副反応、あるいは相対性理論
先週末、3回目のワクチン接種をしてきました。
2回目の時は、微熱と軽い倦怠感があるのみで、生活に支障が出ないレベルでした。
ここまで来たら今回も大したことないだろう。そう思い、今回も最低限のドリンクや食事を準備し、前回使わなかった解熱鎮痛剤だけを準備し、摂取に挑みました。
午後9時。それは、突然やってきました。
急激な熱の上昇。体の火照り。のぼせていくような体の異常放熱。体温計は1時間もたたずして、39度を表示しました。そう、地獄の始まりでした。
滅多に出ることのない高熱に驚愕しつつ、慌てて水分と解熱鎮痛剤を服用します。しかし、熱は下がる気配をみせません。
体を纏う熱の殻。鋼鉄製のアーマーを装備したかのように、四肢の動作が鈍ります。最後にこんな体の状態異常を経験したのはいつだろう。記憶にないレベルです。
そして、とりわけ今回の副反応で変化を感じたのは、時間に関する変化です。
動画やアプリで気を紛らわそうとするものの、とにかく時間の経過が遅い。
眠ろうにも、常に体のだるさや、関節、腰の痛みに襲われるため、布団の上でもがき苦しむしかない。一瞬、気絶するような寝落ちから意識を取り戻しても、時間は数分と進んでいません。ここ数年で、一番朝が遠い夜でした。
一方、短期記憶。いつも以上に失われる速度が速かったです。
水分を取ろうと体を起こし、冷蔵庫のドアを開けたその時でした。冷気と共に、『自分が何かをしたかった記憶』は、どこかへ漂っていきました。冷蔵庫の前でフリーズした状態で頭の中を見渡しても、達成したかった目的は最初から存在したのかすら怪しくなりました。結局、ベットに戻り、『自分が何かをしたかった記憶』を思い出すのでした。
短期記憶の揮発はこれだけではありません。ベッドで苦しみながら、サブスクでドラマなどを観ていたはずが、気づくと直前の記憶が飛んでおり、夢でも見ているかのような急な場面転換が起こったかのような現象が目の前で起こり、ストーリーを跳躍したまま鑑賞することになってしまいました。
これらのことから、副反応の状況下で、2つ気づいたことがあります。
ひとつは、時間が経過する早さより、時間を喪失する早さのほうが早い、ということです。
前へ、前へ。とにかく痛みと苦しみから逃れようと、あれやこれやと娯楽を摂取することで、必死に朝を目指そうとするワケですが、ベッドの上でもがいたところで、朝は遠く、苦しみは消えません。
一方、苦しみ抜いてきた痛みの記憶や、留めておこうとした記憶は、次から次へと失われていきます。まるでサメ映画です。
背後に迫り来る巨大ザメから逃れようと、必死に足をバダつかせて泳ぐ人間。しかし、パニック状態の彼らのバタ足は弱く、思うように前に進みません。そんな、彼らを嘲笑うように、ヤツら背鰭を立てて、巨大な影となって、じわじわと背後に忍び寄ってくる。
…まさにそんな感じです。
もう1つは、ただ過ぎていった平日との対比、です。
これだけ高熱で長い時間苦しんだことで、解熱後、時間がただ(思うように)進むことの素晴らしさを今一度実感することができました。
一方、それは、ただ意識せずとも過ぎていく時間と、気づいたらやってくる金曜日や月末の儚さも想起させました。
5月。GWに始まり、気が付いたら月末が来ていた、という人も多かったんじゃないかなと思います。
楽しかったような、ただ忙殺されて過ぎ去ったような5月。
苦しく長かった副反応の2日間。
ただ過ぎさっていったこの1ヶ月という時間を、もう少しだけ時間や瞬間を意識して生きてみてもよかったのかもな。
相対的な時間に対する感覚を今一度振り返ることに気づけた5月の終わりでした。
P.S 熱が下がった次の日。半日間、泥のように眠ってしまい、休日はおしゃかになったのでした。おしまい。
スイス旅行動画も本日投稿しています。よければご覧ください。
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狭く深い世界で、緩やかに退化したこと(日常コンピレーション Vol. 13)
こんばんは。@heat02zero です。
気づけば、4月。最後まで慌てふためいた一ヶ月でした。
今月の振り返りです。
狭く深い世界で、緩やかに退化したこと
最近、改めて感じたのが、伝えることの難しさです。この状況下であることに加え、年を重ねるにつれて、話す相手が固定され、専門分野が似通った人とばかりと話すことが増えました。そうなってくると、自然と話し相手は、同じレベルの知識、専門性、理解力。そして背景知識を持つ人ばかりになってしまいます。
先日、ふと、友達と話している際に、自分がいかに高度に抽象化されて文で話をしているか、ということに改めて気づきました。
自分自身のこれまでの歩みや背景知識に基づいた会話。
同じ専門性ゆえの、専門的な言い回し。
便利な専門用語の多用。
相手の理解力や意図を察してくれることに依存した会話内容。
コロナ禍で、親しい人たちと密な人間関係でのコミュニケーションがさらに深まった結果、伝える能力が退化しているのではないか、そう思いました。
つまり、自分の生活圏や知識圏から離れた人と話した時、どれだけ自分が伝え下手になってしまったか、ということに気付きました。
これからまた、さまざまな人と話す機会が戻ってくると思います。
ある特定のことについて、まったく背景知識を知らない方と話す時に、自分よがりな話し方になっていないか、相手に合わせて伝わるよう、話の情報粒度を変えたり、話し方を工夫する、といった伝える能力のリハビリが必要になるだろうな、と思っています。
以上が、狭く深い世界で、緩やかに退化した、と感じたエピソードでした。
お知らせ
・久々にスイス旅行動画投稿しました!
・大変長らくお待たせいたしました…約四ヶ月ぶりの動画投稿です。
・あとがきは、また別途記事にします。
・いくつか動画のサムネイル変えました! これを機に、よければご覧ください!
動画はこちら
・自分のクリエイティブ活動をひとつに統合したいので、近々 Note に移行するかもれないです。詳細決まりましたら、Twitter などで発信しようと思います。
ではでは、また次回!
"誰かの日常"に会いにいく(日常コンピレーション Vol. 12)
こんばんは @heat02zero です。
今月も忙しめで、時間のあるうちに書いておこうと思います。
日帰りで非日常を!
3月になり、三寒四温を実感する日々です。毎年この時期になると、JRから青春18切符が発売されるようになります。特定期間中の5日間(別日も可能)、国内のJR路線と一部の区間が乗り放題になる切符です。
残念ながら、世間の状況や諸々の事情により、遠出する時間がなく、今年は断念しました。
しかしながら、日帰りでいいから非日常を味わいたい。ということで、近場の1日フリー切符を調べてみることにしました。
関東地方で見てみても、いろいろなフリー切符があるようです。一例を簡単に紹介します。
週末パス(JR)
青春18切符のもう少し狭いエリア版といえば、わかるでしょうか。関東+αのエリアの1日乗車券です。
東京メトロ24時間券
メトロ区間乗り放題。日をまたいで利用可能。
小田急1日全線フリー乗車券
新宿〜小田原、片瀬江ノ島、唐木田まで乗り放題。このほかにもエリア限定のフリー乗車券がいくつかあります。
東京フリー切符
JR+私鉄の乗り放題。
"誰かの日常"に会いにいく
上記のうち、今回、自分が選んだのは東京メトロ24時間券です。理由は2つあり、ひとつは、1日で東京メトロの全路線に乗ったことがないこと、24時間券の価格が600円とめちゃくちゃ安いことです。
先日、9つ全ての路線を回るべく、実際に行ってきました。全ての路線区間を完全に回ろうとすると、1日では大変すぎるので、1区間でも乗ったらOK、効率よく乗り換えてOKという緩いルールで回ってきました。なるべく降りたことのない駅で降りつつ、歩いて乗り換え(目黒〜中目黒)などもしてみてみました。
実際に回ってみて、思ったのは、まだまだ知らないことが多いな、ということです。
立派な商店街が栄えているんだな、とか。
ターミナル駅に近いのに静かなだな、とか。
意外と乗り換え距離が長いな、とか。
空が狭いけど、なんだかあったかい街だな、とか。
住む分にはいい街だな、とか。
春はすぐそこなんだな、とか。
自分は、誰かが住む、知らない街の日常を垣間見ることが好きなんだな、と改めて思いました。
「海外旅行でないと濃厚な非日常感を味わえない」
「同じ国・地域では、暮らしに大差なんてないだろう」
そう思ってました。しかし、そんなことはありませんでした。それぞれの場所の日常や空気感、目に映るものは大きく異なる、ということに改めて気づけました。
年明けからの状況が、少しずつ快方に向かってきています。まだまだ油断のできない状況ですが、遠くに想いを馳せつつ、身近な誰かの日常に会いにいくのも、いいことかもしれません。
(もう少し余裕が出たら、動画を出したいです…)
ではまた次回!
"わからない"を楽しむ(日常コンピレーション Vol. 11)
こんばんは @heat02zero です。
なんとかすべりこみで今月の振り返りです。
"わからない"を楽しむ
先日、箱根に行く機会がありました。
元々は、モネやピカソの絵を観るために行ったのですが、ポーラ美術館で開催されていた、ロニ・ホーンの展示会で感じたことを残しておこうと思います。
ロニ・ホーンは、アメリカ在住の作家。アイスランドに魅了されて旅をし、アイスランドで経験した「孤独」に影響を受けています。作品は「自然」をモチーフにしたものが多いようです。今回は水をテーマにした作品を中心として展示されていました。
いくつか印象的な作品がありました。
・「ガラス彫刻」シリーズ
・「または 7」 シリーズ
・「あなたは天気」シリーズ
・静かな水(テムズ川、例として)シリーズ
それぞれの作品に思うことがありましたが、今回の展覧会の鑑賞を通じて思ったのが、「わからない」を楽しむことでした。
これまでの美術鑑賞は、有名な絵画や塑像といったモチーフがあるものを見る機会が多く、「この作品はなんか好き」
「色合いがなんか綺麗」
「他の作品や時代とはこんな繋がりがあるのか」
「作者の人柄・生き方がこの絵に反映されているのか」
といった観点で作品を見てきました。
しかし、今回見た作品たちはどれもそういったものとは遠いようで、自分にとっては真新しく、形容し難い作品ばかりでした。
人は、何かを見たとき、既存の何かとして"それ"にラベルを貼りたがります。いい例えか分かりませんが、
「これはりんごだ」
「これは人物だ」
「これは〜ついての作品だ」
、といったものだと思います。何かわからないものを、"それ"を既存のもので解釈をすることで、安心感を得ようとします。
しかし、今回見た"作品たち"は、既存のどれとも違う、説明のしようのないものばかりでした。
近くで見たり、離れて見たり。作品に描かれたもの・背景を理解するのではなく、作品全体・細部に宿った世界や思いを感じとりながら、"わからない"を楽しむことができました。
美術は、受け手側次第、と言います。普遍的に美しいとされているものの価値を、構図や色彩から理解するのも美術鑑賞の楽しみ方のひとつですが、作品を前に、映るままの世界に浸ってみるのもいいなと思いました。
世界の移り変わりが激しい2022年ですが、引き続き、自分で判断・解釈し、発信していくことを続けていければいいなと思います。早く、いろんなことが収束することを願っています。
今月も多忙だったため、旅行動画は3月に上げたいと思います。楽しみにしてくださっている方、もうしばらくお待ちください。
次回に続きます。
スタートダッシュは0時から(日常コンピレーション Vol. 10)
あけましておめでとうございます。@heat02zero です。
とか悠長に言ってますが、もう1月最終週。怖いですね。
年明け1発目の記事なので、今年の目標について書いてみようと思います。
スタートダッシュは0時から
一年の計は元旦にあり、と言いことで、今年は元日0時から目標立てをしました。年明けのテンションで決めちゃった方がスタートダッシュできそうかなと思った次第です。
①: なんでもいいから本を1000冊読む
今年は大きめの具体的な数字の目標を一つをひとつ入れることにしました。
1000冊という数字にした理由は、キリがいい、ということもありますが、やり遂げようとしないと届かない、いい数字だと思ったからです。学生であれば数ヶ月、さらにすごい人は1月で届く数字かもしれませんが、社会人ではそうはいかないと思います。仕事やプライベート、さまざまな外的要因がある中で、ひと月あたり、80冊弱の本を読まなければならないというのは、意識がないと厳しいと思います。最終的に1000冊に届かなかったとしても、100冊を1年の目標に設定して読み進める1年よりは、数倍は遠い景色を見ることができるかなと思います。ということで、たくさん読んでいきたいと思います。
自分だけが選書するとバイアスがかかるので、人と話す機会があったら、おすすめの本を聴く、というのもサブルールにすることにしました。
たくさんの本を意識的に読んでいくことで、自分の琴線に触れるものの数を増やして、楽しいことを増やしていきたいなと思います。
②:理想の街を探したい
今の場所に住んでから、学校を卒業するほどの時間が経ちました。これまで何度か引っ越してきたものの、引っ越し理由が外的要因(入学、入社)だけだったので、今度は住みたい街に住んでみたいな、と時々思っています。
この年齢になってくると、引っ越し場所を自分で決められる機会は、あと数回しかないかもしれないので、ここらで、自分の住みたい街に一度住んでみようかなと思っています。
ということで、今年はいろんな駅・街に行って、自分の好きな場所に出会いたいなと思っています。ウイルスが盛り返してきたので、状況を見つつ、来年引っ越せるを目標に、探索したいですね。面白い街があったら、その話もできたらいいなと思います。お気に入りのカフェや喫茶店も見つけたいです。
③:スイス旅行動画投稿の継続
スイスの旅行記動画も、自分が楽しめるペースでやっていきたいと思います。
観た人が行きたくなるような動画にしていきたいなと思います
これはいつも通り記事で書いていければと思います。
④:行ったことがない都道府県に行く
社会人になって、気軽な行動可能範囲が広がり、ふらっと海外に行く経験をすることができました。しかし、国内にも、まだまだ魅力的な場所がたくさんあることも知っています。行ったことない都道府県は優先したいなと思っています。
あとどのくらいあるか調べてみたところ、16こもあることがわかりました。よくよく考えたら、九州・沖縄の上陸を飛ばして、先に台湾に行ってしまってましたね。状況が落ち着いたら、一人旅はこの辺りを攻めてもいいかなと思ってます。
加えて、今年も、新しいことを探してゆるくやってみようと思います。いくつか進行中のこともあるので、合間を縫ってやっていきたいです。
では次回!
【スイスひとり旅 5】 朝焼け灯るマッターホルン と スネガハイキング (動画編あとがき)
みなさんこんにちは。@heat02zero です。
旅行記動画化、第5話が公開されました。
今回は、マッターホルンに灯る朝焼け&スネガハイキング編でした。
ブログ版はこちら(ちょっとだけ詳しい)
動画のあとがきと補足
朝焼けが灯るマッターホルンを観に
自分は、ざわざわ・ワイワイした場所ではなく、静かな場所で、朝日がマッターホルンを照らしていく様子を見たいと考えていました。そのため、レストランやホテルの多い場所にある、"日本橋"と呼ばれる橋の近くからではなく、グレイシアパラダイスに向かうゴンドラ駅への道中にある橋で日の出を待ちました。そこでは、自分と、もう一人外国人の方だけで、とても快適でした。どうしても駅に近いほど、団体旅行客が密集していて、賑わっていることが多いです。特に、"日本橋"付近は朝昼夕問わず、絶えず人がいる感じでした。
スネガハイキング
今回は休憩込みの2時間半の行程で、スネガ〜リッフェルアルプ間をハイキングしました。
動画は言及していませんでしたが、グレイシアパラダイス方面にいくか、スネガ方面にいくか、直前まで悩んでいました。グレイシアパラダイス方面は景色がとても魅力的であることは間違いないのですが(Youtube に海外の方のゴンドラ乗車動画があります)、値段がかなり高く、時間と体力も必要なので、今回はスネガを選択した形です。
動画では省きましたが、ツェルマッド〜スネガまでは、トンネルを通る、ケーブルカーに乗車、スネガ〜ブラウヘルドまではゴンドラに乗車しました。当初は、ブラウヘルドまで行く予定はなかったのですが、あまりに天気が良かったので行ってみることにしました。スネガ駅では、ブラウヘルドまでのチケットを購入できなかったので、先に乗車をして、到着した改札で往復分のチケットを購入したことを覚えています。
このあたりも、冬はスキー場になっているようで、あちらこちらにリフトがありました。こんな景色を見ながら、スキーが滑れるなんて幸せですね。
また、ライゼーは、子供達が水を使った遊具や、手引きのボートで遊べるようになっていて、子供達が遊ぶ様子や、景色をゆったりと眺めながら休憩していました。スイスに到着してから動きっぱなしで、かなり疲れが出始めており、かなり長めに休憩をとっていたことを覚えています。
ちなみに、リッフェルアルプからは登山鉄道で、ツェルマットへ帰りました。そのあとは、ホテルで爆睡です。
総じて、車が行き来できるほど、整備されている道が多く、景色も刻々と変わるため、初心者でも楽しめるハイキングコースでした。滞在期間中のコンディション的に、慣らしとしても良いかもしれませんね。ぜひ、行ってみてください。
次回の動画からは、ベルーナーオーバーラント編を予定しています。
楽しんでいただけましたら、チャンネル登録などお願いします!
応援してくださる方、いつもありがとうございます!
では、また次回!